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Illusion on the Borderline II @へなちょこ魔術師 Illusion on the Borderline @へなちょこ魔術師のブログPart IIです。引き続き皆様のご愛顧を願います。コメント・リンク大歓迎。

京都北山を走る その10

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 高山寺は日本ではじめて茶が栽培された場所として知られています。今から800年ほど前の鎌倉時代(1207年頃)に、栄西禅師(「喫茶養生記」を著し茶祖と称される)が宋から持ち帰った茶の実を明恵に伝え、衆僧の修行の妨げとなる眠気を覚ますために用いたという故事が伝えられています。
 その茶畑は「日本最古之茶園」碑が立つ現在の茶園とは別の深瀬三本木というところにあったそうです。それ以降2世紀にわたって栂尾における茶の栽培は盛んで、大変品質のよいお茶ができたため、栂尾の茶を本茶、それ以外を非茶と呼ぶほどだったようです。
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 ここで、私は「あれれ?ここが日本最古の茶畑?もっと古いのが滋賀にはあるぞ?」と素朴な疑問を感じてしまいました。
 といいますのも、日本への茶の伝来史によれば、平安時代、804年の遣唐使と同船で中国に渡った最澄(伝教大師)と空海、同時期を中国で過ごした永忠がそれぞれ中国からお茶を持ち帰ったのが、日本のお茶の始まりと言われています。で、最澄が中国から持ち帰った茶の種を805年に比叡山麓の大津坂本に蒔いたのが、日本初の茶の栽培ではなかったかと記憶しています。調べてみましたら、この茶畑は現在も日本のお茶の発祥の地「日吉茶園」として残されていて、ここがおよそ1200年前、日本に最初の茶畑ができた場所だと思うのですけど如何でしょう?
 また、他では日本最古を謳っているのが信楽の朝宮地区。1200年前に最澄が唐より持ち帰ったお茶が初めて栽培されたと言われています。「全国五大銘茶」に名を連ねる朝宮茶は、緑茶の最高峰として歴代天皇にも献上されてます。というわけで、こちらもかなりがんばってる。

 で、実は私の住む長浜市の木之本町古橋にも、鶏足寺を再興した最澄が坂本に蒔いたのと同時期に当地に蒔いたのが始まりとされる茶畑があり、「こだかみ茶」の生産に力を注いでいます。このお茶は戦国時代に長浜城主となった豊臣秀吉が石田三成の母の里である古橋の法華寺に立ち寄った際に、お茶を献上したことで「三椀の才」として認められ、三成が家臣になったと言い伝えられているお茶でもあります。こちらは日本最古とは言っていませんが、その歴史は他の最澄由来の茶園と同じく約1200年ほど前にさかのぼります。
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 さて、こうしてみてきますと、最澄にまつわる茶園はいずれも1200年の歴史があるとされていますが、どれも伝承だけで、ちゃんとした記録として残っていない?のかも知れません。「それ、ホンマでっか?証拠はあんの?」と言われたら、「うっ。」と詰まってしまう。一方、高山寺の方は800年と歴史は浅いものの、茶種を入れて栄西から届けられたという漢柿蔕茶壺などの当時の資料や記録が残っているわけで、そこが最古と言える強みなのかも知れません。もっとも栄西は高山寺に贈る前に、佐賀県脊振村にある霊仙寺内石上坊の庭に、日本で始めて茶の種を蒔いたとされていますし、もうね、もうどこが一番古いのやら諸説紛々。(笑)

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どうやら「日本最古の茶園」はあちこちにあるらしいということです。 (^^;)



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by border72 | 2018-10-31 04:53 | 京都 | Trackback | Comments(0)